まき(20)
まき(20)

【1/4】 【2/4】 【3/4】 【4/4】

114  良介@(藁)  03/07/03 00:59 ID:Fd9J6JdJ
千春が下を向いたまま激しく頭を横に振った。

「俺はこの結論を出すまで、本当に悩んだよ。
 死ぬほど悩んでも答えが出ないくらい千春が好きだ。」

涙声になってしまった。

「私は・・」

「何も言うな」

何か言おうとした千春を制した。
いい訳は聞きたくなかった。

千春のいい訳を聞いたら、又元に戻ってしまいそうだった。

117  良介@(藁)  03/07/03 01:03 ID:Fd9J6JdJ
「私は別れたくない・・別れない・・別れない・・・」

私は何も言わなかった。
千春はまるで念仏でも唱えるようにその言葉を繰り返していた。

「送っていくよ千春。荷物は後で送る。」

しばらく千春はその場を動かなかった。
私も何も言わなかった。
そして再び私が千春に話しかけようとした時、
今度は千春がそれを制した。

「いい。1人で帰れる・・」

千春は周りに散乱した磁気テープをかき集めると、
自分のバッグへしまい込んだ。
 


118  良介  03/07/03 01:06 ID:Fd9J6JdJ
千春が玄関へ向かった。

私は振り向かなかった。

やがてドアノブの乾いた金属音が部屋中に響いた。

「良ちゃんが好き。死ぬほど好き。」

千春はそう言葉を残し、部屋を後にした。
千春から好きという言葉を聞いたのは
交際してから初めてだった。

そして皮肉にもこれが千春の最後の言葉だった。

120  えっちな21禁さん  03/07/03 01:09 ID:Wd67KkE+
>>118
さいご?さいごってなんだよおおおおお!!????

132
  良介@>>128まったくだ。  03/07/03 01:28 ID:Fd9J6JdJ
あれから3ヶ月が過ぎた。

この3ヶ月間で驚く程環境が変わった。

携帯電話の番号が変わった。

アドレス帳から千春の名前が消えた。

住所が変わった。

そして職場が変わった。

あれからすぐに千春の荷物を、千春の自宅へと送った。

幸い仕事に忙殺され、しばらく千春の事を忘れることが出来た。

158  良介  03/07/03 11:26 ID:6sKJFxDE
私の新しい生活が既に始まっていた。
千春が全てだった私にとっては第2の人生と言っても過言ではなかった。
新しい職場に慣れた。
新しい仕事に慣れた。
新しい仲間が出来た。

後は新しい生き甲斐が見つかればいい。

千春との別れを選んだ私の判断は間違っていなかった。

それなのに・・・

その日玄関のドアを開けると、
そこに大きな荷物を抱えた千春が立っていた。

161  良介  03/07/03 11:44 ID:6sKJFxDE
胸が締め付けられた。理解出来なかった。
なぜ千春がここにいるのだ。

「良ちゃ・・」
「何でここが解った!?」
「良ちゃんのお父さんに聞きました・・・」

実家には新しい住所は誰にも教えるなと言っておいた筈だ。

「突然押しかけてごめんさい。でもこうするしか・・」
「何しに来た?」

千春がうつむいた。
そして何か思いついたかのように、その場にしゃがみ込み、
ボストンバックの中から何かを取り出した。

170  良介  03/07/03 12:16 ID:6sKJFxDE
「これ・・あの次の日良ちゃん誕生日だったでしょ?
あの時渡しそびれちゃったから・・・」

千春と別れた翌日は、確かに私の誕生日だった。

「こんな事の為にわざわざここまで来たのか?」

酷く残酷な事を言ってるのは解っていた。
再び千春がうつむいた。

「入れよ」

171  良介  03/07/03 12:20 ID:6sKJFxDE
千春にとっては初めての部屋だ。
中に入ると千春はその場に座りながら部屋の周りを見回していた。
この部屋には千春との思い出の品は何も置いてない。

写真はもちろん、千春のコップや、千春の歯ブラシ。

千春に選んでもらったクッションも、
上京した当時に実家から持ってきたセンスの無い座布団に変わっていた。

あれから間もなく千春は以前勤めていた会社を辞めたという。
高平との事はこの時あえて聞かなかった。




172
  良介  03/07/03 12:23 ID:6sKJFxDE
「良ちゃんは元気だった?」

「ああ。新しい彼女が出来た。」

千春に嘘をついた。

「そう・・・どんな人?」

「そうだな・・・千春とは違うタイプだな。
 でも好きなんだ。だから・・解るよな?」

これで千春が帰ってくれると思った。
しかし、千春の返答は私にとって予想外だった。

174  良介  03/07/03 12:54 ID:6sKJFxDE
「私は2番でもいい・・2番目でいいから・・」

「お前とは別れただろう?もうそういう事言うな。」

「私は別れるなんて言ってない。
 別れるって言ったのは良ちゃんだけ。」

「黙れ」

「でも一緒に居れるなら2番でいい・・だから・・」

「俺はそういう付き合い方はできない。俺はお前と違う。」

「私は良ちゃんの事一度だって2番だなんて思ったこと無い!!」

「ふざけるなっ!!!」

珍しく大声を上げた。
千春が驚いてとっさに目をつぶった。

177  良介  03/07/03 13:07 ID:6sKJFxDE
「高平とはどうなった?」

自分でも一番思い出したくない名前を口にした。
しかし、一番気になる事だった。

「その名前は言わないで・・」
「会っているのか?」
「会ってない!あれから一度も会ってないよ!信じてえ!」
「別れたと言う意味か?まあ今となっちゃあどうでもいいよ。」

千春がうつむいた。傷ついてる筈だ。
しかし早くこの部屋から出て行ってもらいたかった。
そうしないと千春を押し倒してしまいそうだった。
そして以前の自分に戻ってしまいそうだった。

追い討ちをかけるように私はさらに千春を傷つける。
自分でも信じられない程、残酷な言葉を投げつけた。

185  良介  03/07/03 13:55 ID:6sKJFxDE
「千春・・・」

千春が顔を上げる。

「高平の前でした事を俺の目の前でもやって見ろ。」

千春が驚いた顔をした。そしてすぐにうつむいた。

「俺の前では出来ないか千春?やっぱり俺じゃ駄目か?」

千春はしばらくうつむいたままだった。
ひざの上でこぶしを握り締めていた。
その拳の上に涙が落ちていた。

千春が涙を拭いた。
そして千春はゆっくりとブラウスのボタンを外していった・・

186  えっちな21禁さん  03/07/03 13:56 ID:LU1uzqAU
千春の本性キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!!

188
  えっちな21禁さん  03/07/03 14:01 ID:roto1ANg
切ない!悲しいよ、こんなH。
つらいねー。

190
  良介  03/07/03 14:12 ID:6sKJFxDE
千春が下着姿になった。
こうして見ると随分と痩せたようだ。
千春は下着姿のまましばらくうつむいたままだった。

「良ちゃん・・・」

「何だ?」

「・・・ビデオ・・見た時どう思った・・?」

「前にも言っただろう。」

「軽蔑した・・?」

「当たり前だろう!」




191
  良介  03/07/03 14:29 ID:6sKJFxDE
しばらくして千春が顔を上げた。
千春はその大きな瞳にいっぱいの涙を浮かべ、私を見つめていた。
そしてふいに強がりのような笑顔を見せた。

「良ちゃんの目の前で(ビデオと)同じ事したらうれしい?」

「ああうれしいねえ。うれしいけどもう服着ていいよ。」

私は千春の顔を見て心が痛んだ。
やっぱり心のどこかで忘れらない想いがある。

「うれしい?」

千春は涙声が混じっているが、明るい声で私に問い掛ける。
強がっているのが手に取るように解る。
もう間もなくビデオの中の千春が目の前に現れるだろう。
しかし、この千春の悲しい作り笑顔だけは、
ビデオの中の千春と重ねる事ができなかった。

194  良介  03/07/03 14:45 ID:6sKJFxDE
私は何も答えなかった。
千春の私を見つめる大きな瞳が私の視線をそらす。
そしてそんな私を見て千春が答える。

「わかった!」

涙声の混じった明るい千春の声だった。

しばらくして視線を千春に戻す。
全裸の千春がそこにいた。

千春はそのままベッドにもたれかかった。
涙が頬を伝っていた。
そしてゆっくりと足を開いていった。

206  良介  03/07/03 15:42 ID:6sKJFxDE
私の鼓動は血管が破裂しそうなほど高まっていた。
千春を止める事が出来なかった。
初めて現実で見る千春のこの姿から目が離せなかった。

千春の指が動く。
片方の指で千春のそれを開く。
開いた先にはっきりと千春の突起物が見える。

指は溢れ出る愛液をすくい、突起物の豆上を円を描くように動く。
しばらくその繰り返しが続く。
早く終わらせたいという気持ちがそうさせるのか、千春は真剣だった。

207  良介  03/07/03 16:10 ID:6sKJFxDE
しかし千春は声を出さなかった。
私と視線を合わすこともなかった。

突然指の動きが早くなる。
千春の表情が変わってゆく。
今まで閉じたままの口がわずかに開く。
そこからかすかな息遣いが聞こえて来る。

一瞬体が硬直する。眉間に皺が集中する。

間もなく千春が絶頂を迎えた。

210  良介  03/07/03 17:11 ID:6sKJFxDE
興奮は極みに達した。
私は自分を抑える事が出来なかった。

服を脱ぎ捨て、千春をベッドに押し倒した。

千春に覆い被さる。
唇を重ねる。舌を絡ませる。
千春が腕を絡ませてくる。

二人共涙を流していた。

(今日一日だけだ・・・今日一日だけだ・・)

そう何度も自分に言い聞かせながら千春を抱いた。

211  えっちな21禁さん  03/07/03 17:13 ID:AKVKBjeB
>>210
ああ、やっぱ抱いちゃったんだ。

214
  良介  03/07/03 17:22 ID:6sKJFxDE
目が覚めると千春が台所に立っていた。
昨夜、二人は全てを忘れ何度も交わった。
「おはよう」
千春が笑顔で話し掛ける。
「ああ」
タバコに火をつけ視線をそらす。
千春を見ているのが辛かった。

私はスーツに着替えた。
早めの出勤の準備をした。
キーケースから1つしかないこの部屋のカギを抜き、
テーブルの上に置いた。

「カギは一つしかないからポストに入れておいてくれ。」
私は遠まわしに千春に帰れと言っている。

そして千春はその言葉を予期していたかの様に唇をかみ締め、
やがて静かに頷いた。




216
  良介  03/07/03 17:25 ID:6sKJFxDE
「じゃあ行って来る」

その言葉を聞き千春の目から涙がこぼれた。

「もうすぐ出来るから・・ね?・・食べてって・・・」

床にはコンビニの袋が置いてあった。
恐らく朝早く起きて買ってきたのだろう。

私は再び視線を落とす。
そして持っていたカバンを置いた。

217  えっちな21禁さん  03/07/03 17:31 ID:eCc8oYVV
>
「もうすぐ出来るから・・ね?・・食べてって・・・」

切ない・・・

218
  良介  03/07/03 17:31 ID:6sKJFxDE
千春の作った朝食がテーブルに揃った。
ご飯に味噌汁、ししゃもにハムエッグ、そして納豆にサラダ。
コンビニで揃う材料と言ったらこんなものだろう。

それでもなぜか千春の味がした。
運んできたのは私の分だけだった。

「お前は食わないのか?」

「いい。良ちゃんの食べる所見てる。」

「食いづらいじゃないか」

「いいじゃない。それよりごめんね、こんなものしか作れなくて・・」

「十分だ」

219  えっちな21禁さん  03/07/03 17:36 ID:AKVKBjeB
どうなるんだろう・・・。

233
  良介  03/07/03 18:26 ID:6sKJFxDE
千春が作った朝食を食べ終え、私は再び立ち上がった。
千春は座ったまま私の方を見なかった。

「じゃあ行って来る。カギよろしく」

千春が黙って頷いた。

私が出て行くまで、千春はその場を動かなかった。

(これでいいんだ・・)

私は自分に言い聞かせ、部屋を後にした。

440  良介  03/07/04 16:55 ID:sjh1JPwQ
午後になると私は得意先まわりを始める。
しかし今日は何もやる気が起きなかった。
一番仲の良い所へ連絡し、訪問した事にしてもらった。

缶コーヒーを買って、公園のベンチへ腰掛けた。
千春の事を想い浮かべる。まだ部屋にいるだろうか?

忘れかけてた頃に突然やってきた千春との再会。
そのお陰で今も頭の中は千春一色だ。
会わなければこんな思いをする事も無かった。

ふと、ある事を思い出した。
お門違いなのはわかっていた。
それでも私は実家へ電話した。

441  良介  03/07/04 16:58 ID:sjh1JPwQ
言うまでもなく千春に住所を勝手に教えた親父に
抗議するためだ。
今年定年退職して、普段は家にいる。
私より無口で、必要な事しか喋らない頑固親父だ。
しばらくして親父が電話口に出た。

442  良介  03/07/04 16:59 ID:sjh1JPwQ
「なぜ住所を教えたんだ。」

「なぜって聞かれたからだ。」
親父は何の事か聞きもしなかった。
それよりこの開き直った態度が許せない。

「教えるなと言っておいたろう!」

「生意気言うな!どんな理由があったにせよ、
女の子をあんなに泣かすんじゃない!」

親父が突然電話口で怒鳴った。

「理由も知らないで勝手な事言うな!」

私も公園である事を忘れていた。


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