【1/2】 【2/2】

370  タケちゃん 7cXoTnp/sU  03/07/04 12:39 ID:STo3Uxvn
雨が降ってきた。
車の屋根を叩く雨音は不規則なリズムを刻んでいる。
俺は手に持っている機械のツマミを夢中で操作していた。
エアコンを切った車内は夜になっても蒸し暑く
俺は全身汗でびっしょりになり、額からは汗が滴り落ちてくる。
この機械は1年くらい前大学の先輩から貰ったものだ。

371  タケちゃん 7cXoTnp/sU  03/07/04 12:40 ID:STo3Uxvn
最初は何の機械か判らなかった。
「先輩これなんですか?」
俺がそのトランシーバーみたなモノを先輩に見せると
「ああ、それ電波を傍受する機械だよ」
なんでもディスカウントショップで1万円くらいで買ったらしい。

警察無線や昔のアナログの携帯電話や
コードレスの電話の電波を傍受できるらしい。
「電池が切れたままほったらかしにしてたから
充電すりゃまだ使えるぜ、欲しかったらやるよ」

面白そうだなって思って貰って帰った。

372  タケちゃん 7cXoTnp/sU  03/07/04 12:40 ID:STo3Uxvn
家に帰ってからしばらく充電してスイッチを入れるとたしかに使えた。
でも、驚いたのはその性能だった。

コードレスホンというボタンを押してツマミみたいなのを調節すると
近所のコードレスホンからの会話がバンバン聴こえてくる。
「こりゃ凄げえ」と思った。

まさかここまで鮮明に聞こえるとは思ってもみなかった。
最初は面白くて近所の電話を盗み聴きしていたが、
たいして面白い内容の会話も無く
やがて飽きて部屋の隅に転がったままになっていた。