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111 賢治:04/05/26 08:53 ID:Dha0E2IC
むしろこの耕司には同情さえしていた。
一緒に暮らしながら通代が風に勤めているのを黙認するような男でもあるがすべてみな通代に主導権があったからである。結局、数ヶ月後にこの男は生まれ故郷を出て逃亡してしまうのだがそれもこれも・・・あの通代に関わったからだ。

「ど、どうしたんですか!」
「ちょっと車の中ででも話そかぁ」
驚きながら、私の左手を見るのを放っといて外へと促した。
車の前で、血のたまった袋を手からはずし地面にはなすと
「バシャッ」と落ちて、ゲル状に固まりかけた血がドロッと袋から流れ出た。これ見よがしの演出であるが、この男に効果は充分であった。
気の小さなこの男はきっと、この後の話し合いに駆け引きを持ち出す余裕はもうないであろうと確信した。

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 賢治:04/05/26 09:13 ID:Dha0E2IC
「耕司、いいか俺が復縁を免れた以上、お前が後を引き受けるしかないんだぞ・・お腹の子供の事もよくよく考えて決めるんだぞ」
「な、なんとかならないですかねぇ」
「それを俺に言うのは見当違いだよ・・」
私が耕司の所に来た目的は今後について特に通代のお腹の双子が
気に掛かった事と他にもう一つあった。それは、耕司の口からハッキリと不貞であった事実を確認し証拠におさめておく事だった。
無論、あの人物に対しての対策としてである別れる事は了承したが、どんな因縁をつけて何を要求してくるのかまだまだ予断は出来ない。

「この後の会話は録音するけどな、落ち度がないと思っていた俺でさえこのザマだ・・もし後から嘘が発覚したらお前どんな仕打ちに合うかわからんぞ」